大槌町は18日にも東日本大震災で被災し、解体、保存を巡って揺れ続けてきた旧役場庁舎の解体工事に着手する。
旧役場があるのは、大槌町文化交流センターや災害公営住宅などが立ち並ぶ町中心部。 生い茂った草に囲まれた旧役場庁舎の解体工事は18日にも始まる見込みだ。
町民有志団体おおづちの未来と命を考える会(高橋英悟代表)は17日、町内で震災を振り返る住民集会を開催した。
「庁舎を見たくない」
という遺族がいる一方、町の災害対応検証が不十分と指摘する声も。 今なお町民がさまざまな感情を抱えたまま、解体の着工日を迎える。
集会は同町小鎚のショッピングセンター「シーサイドタウンマスト」で開かれ、約50人が参加。岩手大の斎藤徳美名誉教授(73)=地域防災工学=が講演し
「住民の命を守る行政責任は大きく反省が前提だが、不毛な対立のままで未来像は描けず、一部を遺構として残すなど第3の選択も探るべき」
と指摘した。
斎藤名誉教授は津波襲来前に庁舎前に設置された災害対策本部の写真も提示。
同町小鎚の自営業祝田(いわいた)栄一さん(67)は
「行政も頭が真っ白になったと思う。物証は残さなければならず、残し方を議論したほうがいい」
と発言した。