「空き家」の増加は今後の日本における大きな問題として、マスコミでも頻繁に取り上げられています。人口減少が確実な日本においては深刻で大きな問題といえますが、その本質についてはあまり深く議論されていないように思われます。
なぜ、空き家が増えるのでしょうか?
まず、どれくらい空き家が増えているのか、今後どのくらい増えるのかをみてみましょう。
最新のデータである2013年(平成25年)に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、全国の総住宅数は 6,063 万戸で、このうち空き家の数は 820 万戸でした。その割合は13.5%となっており、前回調査(08年)の時が13.1%、757万戸でしたので、それぞれ+0.4%、+63万戸となり、じわじわ増えている状況です。
「空き家」とは、どんな家のことなのでしょう。
住宅・土地統計調査における空き家には、「賃貸用又は売却用の住宅」「二次的住宅」「その他の住宅」の4つの分類で定義されています。
「賃貸用の住宅」の空き家とは、賃貸物件における空室、「売却用の住宅」の空き家とは、販売用物件の既存在庫(未発売含む)のことです。
「二次的住宅」の空き家とは、「別荘(週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅)」及び「その他(ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊りするなど、たまに寝泊りしている人がいる住宅)」を合計したもの(同調査の資料より引用)とあります。
「その他の住宅」の空き家とは、「賃貸用又は売却用の住宅」又は「二次的住宅」以外の、人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(同:引用)のことを指します。もちろん、死亡のため使わなくなった家や老人ホーム、介護施設に入所するために使わなくなった家もここに含まれます。
このうち、「その他の住宅」に属する空き家の数は 318万戸もあります。13年の全国の空き家の数(820万戸)に占める割合は38.8%であり、その数は過去 20 年間で約2倍に増加しています。このカテゴリーが、「空き家問題」の最も大きな問題とされています。
図1のように、空き家数の割合は1998年に初めて10%を超えました(11.5%)。その後、15年で2%増えましたが、その間に実数はそれほど大きく(騒がれているほど)増えたわけではありません。
民間シンクタンクの予想では、次回調査(18年)からは、割合・実数とも大きく増えるとの予想がされていますが、少なくとも近年(ここ15~20年)の増加については、空き家増加の大きな要因は、先に述べたような「その他の住宅」の空き家が増えたことです。
一部メディアでは、「節税や投資のため等で賃貸住宅が建てられすぎだから空き家が増えている」「どんどん新築住宅が建てられているから空き家が増えている」などと報道されていますが、それを全否定するつもりはありませんが、データを見る限りでは主要因ではないようです。
その②に続く