地鎮祭は、土地に宿る神様を鎮めこれまでのお礼をするという意味で行いますので、絶対にやらなくてはならないことではありませんが、古くから続けられている儀式ですのでやっておいた方が精神的な面で今後の役に立つかもしれません。
ご自身がやる必要性を感じなくても、ご家族の方々の気持ちを尊重しやるやらないを決定した方が良いでしょう。
地鎮祭は一般的にお米やお酒をお供えし、神主さんを招いてお祓いをしてもらいます。
流派やその神社によって費用や時間も異なりますので、ご家族に相談したり、近所の神社に相談に行くのも良いでしょう。
新築を建てる場合には不動産業者や、ハウスメーカーに相談すれば手配してくれるということもあります。
このような 地鎮祭 が、
なぜ日本に根強く残っているのでしょうか?
地鎮祭は日本最古の歴史書『日本書紀』にも記録されています。(下記に引用します。)
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時は持統天皇五年(西暦691年)十月二十七日。「使者をつかわして新益京に、地鎮の祭をさせられた」と端的に記録されている。
新益京とは現在の奈良県橿原市にある藤原京の別名で、持統天皇にとっては自分が造営する初めての都となる重要な土地。当時持統天皇は飛鳥浄御原宮(現在の明日香村)に居住しており、大した距離ではないことを考えれば、地鎮祭は天皇自らが祭祀を行わねばならないほど重要な祭とは認識されていなかったのかもしれない。
地鎮祭は土地神への建築許可を願うものだが、祝詞に登場する神々は産土大神(うぶすながみ)、大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)、埴安姫大神(はにやすひめのかみ)、屋船大神(やふねのおおかみ)の四柱が多い。以下、それぞれの神様がもたらす意味を説明しよう。
産土大神:その人が生まれた土地を守る神で、その土地で生まれた人の一生を見守ってくださる存在と考えられていた。地鎮祭に登場する産土神は、これから家を建てる土地の守り神を指すと考えられるが、建築主が自らの守護神に「この土地へ引っ越しましたが、これからもよろしくお願いいたします」と改めてお願いする意味もあったのかもしれない。
大地主神:この土地を守護する神のこと。家を建築する許可はこの神から受ける。
埴安姫大神:埴土(粘土)の女神で、陶器の守護神ともされる神。土壁の家にはふさわしい神様だ。
屋船大神:古くから御殿を守護する神と考えられてきた、木の神である久久能智命(くくのちのみこと)と草の神である草野比売神(かやのひめのかみ)を指す。
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一般的な地鎮祭は、以下の手順で行われることが多いようです。
1)清め祓い(両手と口を漱ぎ心身を清める動作も含まれる)
2)お供え物の献上
3)祝詞
4)四方祓い
5)地鎮
6)玉串の奉奠
7)お供え物の撤収
8)お神酒の乾杯
神々が降臨するのは清め祓いの後で、神職たちが「おお~ん」と警蹕の声を上げるのでびっくりするかもしれません。
これは「神様が降臨されるので、失礼のないように」という合図の声です。
また、神様がお戻りになるのはお供え物を撤収した後、この際にも警蹕の声があげられるようです。
多くの場合、地鎮祭で築かれる祭壇には、榊の木が立てられています。
これは神の依り代で、神が降臨する目印となる重要なアイテムです。
また、四方をしめ縄で張り巡らし、結界が作られています。
施主が用意するのは、お供え物と神職さんへのお礼にあたる初穂料。
依り代や玉串奉奠に使われる榊、お神酒をいただくための湯呑、半紙など。
どれもスーパーで手に入るので、抜かりないようにするとよいでしょう。
マンションなどの地鎮祭では、住民一人ひとりが参加しないので、そもそも落成したマンションを購入することも多いでしょうから、地鎮祭には間に合いません。
土地神に建築許可をもらうものが地鎮祭であると考えれば、住人には関係がないのですが、
もし気になるのならその土地の鎮守の神様(最寄の神社)に、引っ越しのご挨拶をしておけば良いでしょう。
次回は 『 上棟式 』 についてお話していきます。