重機をはじめ、その部品やさまざまな用具で工事現場の世界を体感できる企画展「『工事中!』~立ち入り禁止!? 重機の現場~」 が8日、東京臨海都心の日本科学未来館でスタートした。
この企画展は、通常は一般人が立ち入れない「重機が働く現場」にもぐり込み、「工事現場に秘められた人類の知恵や熱意、重機の力が文明の発展に与えた影響、重機の仕組み」などを科学的に“掘り”さげるというもの。展示スペースは空間全体が実際の工事現場で使われるネットや囲い、足場などで構成され、本当の現場に潜入したような気分になる。
展示は整地、建設そして解体といった工事の工程ごとに分けられ、それぞれの場面で使われる機器が展示されている。重機はブルドーザや油圧ショベルなどの実機のほか、解体用アタッチメントや超大型クレーンの一部なども。
実機展示は現行モデルが中心だが、重要科学技術史資料(未来技術遺産)に選定されている『Y35』もある。これは新三菱重工(現・キャタピラージャパン)が1960年に生産開始した日本初の国産油圧ショベルだ。また日立建機が開発したコンセプトモデル『四脚クローラ方式双腕型コンセプトマシン』は、あまりの迫力に恐怖し、泣き出してしまう幼児もいたほどだ。
実機展示以外にも、鉄筋コンクリートの仕組みを紹介したり、実際に手で動かして油圧シリンダーや滑車の原理を学べる展示などがある。また実機の床面近くには、本来の説明パネルとは別に、視点の低い幼児に向けた説明パネルを置くなど、親子で楽しむための配慮や演出を随所に見ることができる。もちろん、普段はじっくり見ることのできない世界を覗けるということで、メカ好きの大人も楽しめることは間違いない。
最後の展示エリアは、最新の建機事情や将来像を紹介。古河ユニックの折りたたみ式電動クレーン『UR-W295CBR』や、タグチ工業が試作したCFRP製の油圧ショベル用アーム、トピー工業が試作した資材搬送ロボットなどが並ぶ。
そして出口の直前には、小型の油圧ショベルやホイールローダが合計3台並べられ、運転席に乗り込めるようになっている。子供たちに人気なのは当然のことながら、わが子の写真を撮りたがる親からも人気を集めていた。
7日の内覧会で、日本科学未来館展示企画開発課の内田まろ課長は「大人が子どもになる展示」とあいさつ。また展示を監修した京都大学大学院工学研究科の高橋良和教授は「重機は人を助けるものだ」という。重機は大規模な工事で使われるので、その場面を見ると圧倒され、何のために重機が作業をしているか思いが至らなくなってくる。「重機は人間を置き換えるのではなく、人間ができないことを手伝う」ということを確認してほしいと解説した。
展示会全体としては「重機の展示会」というよりも、建設現場そして建築業界について幅広く紹介する内容。とはいえ「巨大メカ」とも言える重機の存在感は強烈で、「重機の現場」というサブタイトルにも納得する。この企画展の会期は5月19日まで(火曜休館)。入場料は大人1600円、中人(小学生~18歳以下)1000円、小人(3歳~小学生未満)500円。